LMS・ツール導入だけでは業務課題は解決しない~eラーニング設計と研修設計の基本
このような企業は少なくありません。
- 慎重に時間をかけて検討してLMSを導入した
- eラーニング制作ツールも導入して教材もたくさん作った
- しかし研修が業務成果につながっているのか分からない
「業務成果」と聞くと、急にハードルが高く感じられるかもしれません。
しかし、出発点は「研修設計」にあります。
近年、eラーニング制作ツールは高機能になり、以前のような専門的な制作スキルがなくても教材を作ることができるようになりました。PowerPointから簡単にeラーニング教材を作成できるツールも増えています。
その結果、企業では以前よりも少ない労力で教材を量産することが可能になりました。
しかし、eラーニングを含めて、教材という「形」だけで学習が機能するわけではありません。
重要なのは、学習を業務成果につなげる「設計」です。
この記事では
- eラーニング設計とは何か
- LMS導入後に成果が出ない理由
- 成果につながる研修設計の基本
について解説します。
eラーニング設計とは?
まず整理しておきたいのが、eラーニング設計とは何かです。
多くの企業では
- PowerPoint教材を作る
- 動画教材を作る
- LMSにコース登録する
- コースを受講者に割当てする
ここまでを「eラーニング実施」と考えています。
しかし本来の設計とは
学習が受講者の業務における行動変容につながり、組織や企業の課題解決や目標達成につながる構造を作ること
です。つまり、
業務課題・目標
↓
学習目標
↓
学習内容
↓
学習体験
↓
行動変化
↓
成果
この流れを設計することが研修設計であり、その中の一部がeラーニング設計です。
教材制作はあくまで設計の一部にすぎません。
設計がなければ、どれだけ教材を制作しても、学習が業務成果につながらない可能性があります。
LMS導入後に成果が出ない理由
LMS導入企業でよく見られる問題として、次のようなケースがあります。
- LMSにPowerPoint教材や動画を登録しただけ
- 受講率だけを管理している
- 統計を取ったとしても受講者の感想のみ
このような場合、研修は「受講」で終わります。その結果として
- 行動が変わらない(行動が変わったか分からない)
- 業務に活かされない(現場パフォーマンスが改善されたか分からない)
- 成果が見えない(業務課題や目標がクリアされたか分からない)
という状況になります。
また、実際の企業では、LMS導入プロジェクトは次のような流れで進むことが多いです。
- LMS製品の比較検討
- 社内稟議
- システム導入
- コンテンツ制作
このプロセスの中で、多くの時間と労力がかかるのはツール導入とコンテンツ制作です。
そのため、プロジェクトの関心は自ずと
- LMSの機能
- 制作ツール
- SCORM対応
- 教材
といったツールや教材に集中しがちなのです。
しかし実際には、LMS導入後に企業が直面する問題の多くはツールではなく「設計」と「運用」の問題
です。例えば、- どの社員にどの順番で受講させるのか
- 受講後にどのような行動を期待するのか
- 学習結果を誰が評価するのか
- その評価をどのように現場にフィードバックするのか
といった設計が曖昧なまま導入されるケースは少なくありません。
その結果として、
- LMSはあるが活用されない
- 教材はあるが学習が定着しない
- 受講率だけが管理される
という状態になりやすいのです。
※関連記事: LMSやeラーニングを導入したのに活用が進まない理由
成果につながるeラーニング設計の基本
では成果につながる「設計」とはどのようなものなのでしょうか?
多くの企業では研修を
「研修を実施する→知識を得る→業務に役立つ」
と考えています。
しかし実際にはこの間に多くの要素があります。例えば、
- 学習内容が業務と関連しているか
- 学習した内容を実践する機会があるか
- 上司や組織がその行動変化を評価するか
などです。
そのためeラーニング設計ではコンテンツ制作だけではなく、学習体験全体を設計する視点が重要になります。
ポイントは主に次の5つです。
① 学習目的を明確にする
まず必要なのは「何をできるようにする研修か」を明確にすることです。これは企業や組織の課題、目標を達成するためのニーズ分析がベースとなります。
研修を「単なる知識習得」ではなく
- 行動変容
- 業務スキル
- 判断力
に繋げるための内容と構成を考える必要があります。
② 学習内容を整理する
eラーニングでは、1ページあたりの情報量が多すぎる教材がよく見られます。図や例示を入れているから情報量が多くても良いというわけではありません。学習効率を高めるためには、
- 必須内容
- 補足的内容
- 実践につながる内容
を整理し、適切な順番で情報を提供することが重要です。そして最後に、学習内容を現場で活用するイメージを持たせることで、知識が実務につながりやすくなります。
③ インタラクションを設計する
eラーニングは画面に向かって単独で行う学習のため、情報が一方通行になりやすく、集中力を維持するのが難しい場合があります。そのためインタラクション(双方向性)を設計することが重要です。インタラクションの例としては、
- クイズ
- ロールプレイ
- 探索型コンテンツ
- 展開型コンテンツ
- ケーススタディ
- 分岐シナリオ
などがあります。これらを組み込むことで
- 理解度
- 集中力
- 学習定着
を高める効果が期待できます。
④ LMS運用を設計する
LMSはコース登録やコース割当で終わるツールではありません。例えば、
- 受講の順序
- 受講タイミング
- 未受講時の対応
- 学習フォロー
- 現場上司との連携
など、運用設計が重要になります。さらに、
- 不合格の場合の対応
- 評価の方法
- 評価結果の活用
なども設計する必要があります。
⑤ 成果測定を考える
多くの企業では
- 受講率
- 修了率
だけを見ています。しかし重要なのは業務でどのような行動変化が起きたかです。ニーズ分析を最初に行い
- 行動変容
- 業務KPI
を定義し、測定タイミングを設計することが重要です。行動変容が起きない場合には、
- 内容
- 学習方法
- 運用
などを見直すことで、次の改善につながります。
eラーニング設計を見直す方法
- LMSを導入したのに活用が進まない
- 研修が業務成果につながらない
という場合、まず必要なのは設計の整理です。企業ごとに状況が異なるため、設計の課題は個別に整理する必要があります。例えば、
- コンテンツはあるが運用が機能していない
- LMSはあるが研修体系が整理されていない
- 学習しているが業務評価と連動していない
など、原因は企業によって異なります。そのため、新しい教材を作る前にまず現状の設計を整理することが重要になります。
eラーニング設計診断
もし現在
- LMSを導入しているが活用できていない
- eラーニングが定着していない
という場合は、まず現状を整理してみてください。
設計から整理したい場合
企業によっては
- 設計整理
- コンテンツ構造
- LMS運用
などを専門家と整理することが有効な場合もあります。特に、PowerPointベースでeラーニング教材を制作できる iSpring Suiteのようなオーサリングツールを導入している企業では
- PowerPoint教材をそのままeラーニング化している
- コンテンツはあるが学習設計が整理されていない
- LMS運用とコンテンツ設計が連動していない
といったケースも少なくありません。このような場合、
- 学習設計
- コンテンツ構造
- LMS運用
を整理することで、研修の効果が大きく変わる可能性があります。
ハッピフィーリングでは
iSpringを活用したeラーニング設計の整理や改善の支援も行っています。
まとめ
LMSやeラーニングは、導入するだけでは成果につながりません。最も重要なのは設計です。
- 学習目標
- コンテンツ構造
- インタラクション
- LMS運用
- 成果測定
これらを整理することで、eラーニングは業務成果につながる学習の仕組みとして機能していくのです。
もし現在、
- LMSを導入しているが活用が進まない
- eラーニングが定着していない
- 研修の成果が見えない
という場合は、一度「設計」という視点から研修を見直してみることをおすすめします。
研修成果が見えないとき、いきなり教材を作り直すのではなく、まずは設計のどこに課題があるのかを整理することが重要です。
自社のeラーニングやLMS運用の現状を確認したい場合は、以下の診断ページをご活用ください。
まずは3分で、現状の課題を整理してみてください。