eラーニングがうまくいかない理由|「とりあえず教材作成」から抜け出す方法とは
eラーニング設計で失敗する理由は「知識・スキル・判断分解」ができていないから
eラーニングを導入したものの、「受講はされているが、業務成果につながっていない」と感じたことはないでしょうか。
教材の内容自体は正しいし、LMSでコース管理もできている。受講率もそれなりに高く、修了者も出ている。・・・それにもかかわらず、現場では大きな変化が見られない。
このような状態に陥るケースは決して珍しくありません。
前回の記事では、設計の出発点として「業務目標/課題を明確にする」重要性について整理しました。
関連記事:eラーニング 作り方の最初のステップ|失敗しない設計手順
そして次の段階として必要になるのが、
「その課題を解決するために、何をできるようにすればよいのか」
を明確にすることです。
この「何をできるようにするか」を曖昧なままにしてしまうと、どれだけ教材を作り込んでも、成果につながる設計にはなりません。そのために必要なのが「知識・スキル・判断分解」です。
知識・スキル・判断分解とは何か
知識・スキル・判断分解とは、
「業務で成果を出すために必要な行動」を起点にして、その行動を成立させるための要素を分解していくことです。
ここで重要なのは、単純に知識を列挙することではないという点です。
例えば、ある業務を遂行するためには、
- どのようなタイミングで判断が必要になるのか
- その判断にどのような選択肢があるのか
- どのような行動を取る必要があるのか
- その判断や行動を支える前提知識は何か
といった複数の要素が組み合わさっています。
つまり、実務で求められるのは「知識単体」ではなく、スキルや判断と行動が連動したスキルです。この構造を整理しないまま教材を作ってしまうと、
- 内容は理解できたが、実際の業務では使えない
- 受講したが、何をすればよいのか分からない
といった状態になりやすくなります。
なお、この分解の前提となるのがニーズアナリシスです。
業務目標や課題が曖昧なままでは、当然分解を正しく行うことができません。
関連記事:eラーニング 作り方の最初のステップ|失敗しない設計手順
なぜ知識・スキル・判断の分解が重要なのか
1.“ズレた設計”を防ぐため
現場では、「成果が出ていない」という課題に対して、それらしく見えるテーマで研修が企画されることがよくあります。
例えば、
- クレーム対応が増えている → 接遇研修を実施
- 業務ミスが多い → 注意力向上の研修を実施
といったケースです。
一見すると妥当な対応に見えますが実際には、
- クレームの原因は商品仕様の理解不足だった
- 業務ミスの原因は業務フローの一部に抜けがあった
といったように、根本原因が別のところにあることも少なくありません。このような状態で、表面的な課題に基づいて設計を進めてしまうと、研修コース単体としての完成度は高くても、成果にはつながりません。
つまり、知識・スキル・判断分解が不十分なまま設計を進めると、ズレがそのまま固定化されてしまうのです。
2.eラーニングは“補完が効かない”
対面研修であれば、多少のズレがあったとしても、講師がその場で補足することができます。
例えば、受講者からの質問に対して説明を補ったり、ディスカッションの中で理解を深めたりアドバイスをすることで、現場で活かせる知識を偶発的に得ることも可能です。しかしeラーニングの場合、受講者はコンテンツ単独で学習し、行動に移す必要があります。
そのため、事前に
- どこでつまずくのか
- どのタイミングで判断が必要になるのか
- その判断の難易度はどの程度か
- どの知識が不足しやすいのか
- 前提となる知識は何か
といった点を分解して整理しておかないと、受講後「分かったつもり」になるが現場で活かされないコンテンツになります。
結果として、せっかくeラーニングをLMSで配信し、受講者はコース修了しているにもかかわらず、
「業務目標/課題に対して何ができるようになるかが定義されていない」ため、現場の行動変化が曖昧になってしまいます。
3.分解ができていないと起こる問題
知識・スキル分解が不十分な場合、次のような問題が発生します。
- とりあえず網羅的に詰め込んだ教材になる
- 受講者のレベルに合わない
- 重要なポイントがぼやける
- どこまでできればよいのかが不明確になる
- 評価基準が曖昧になる
その結果、
- 受講はしているが、現場で活かされていない
- やっているが、効果が見えない
という状態が繰り返されることになります。
知識・スキル分解の考え方
知識・スキル・判断分解の基本は、
ゴールから逆算することです。
まず、
- 業務でどのような状態になれば成果と言えるのか
を定義し、そこから、
- どのような行動が必要か
- その行動にどのようなスキルが伴うか
- その行動にどのような判断が伴うか
- その判断を支える知識は何か
を整理していきます。
このときのポイントは、
目標/課題→ 行動 → 知識・スキル・判断
の順で考えることです。
多くの場合、いきなり知識から考えてしまいがちですが、それでは実務と結びつかない設計になってしまいます。また、分解を行う際には、「実際の業務に即しているか」という視点が不可欠です。
机上の理論ではなく、現場でどのような判断や行動が行われているのかを踏まえた上で整理する必要があります。
よくある落とし穴
分解を行ったつもりでも、実際には次のような状態になっていることがあります。
- 単なる知識リストになっている
- 実際の行動と結びついていない
- 理想論だけで構成されている
この状態では、分解しているようで、設計にはつながっていません。知識・スキル分解は、単純な整理作業ではなく、業務理解と設計力の両方が求められる工程です。
なぜ専門的な設計が必要なのか
知識・スキル分解は一見シンプルに見えますが、
- 前提となる知識の見落とし
- 現場とのズレ
- 判断基準の曖昧さ
といった要素が絡むため、精度に大きな差が出ます。特にeラーニングの場合、設計のズレはそのままコンテンツのズレとして表面化します。
そのため、
- 業務理解
- 設計力
- 教材構造の設計
を横断的に整理することが重要になります。
まとめ
eラーニング設計においては、
- ニーズアナリシスで課題を特定する
- 知識・スキル分解で構造を整理する
- その上で教材設計を行う
という流れが重要です。
この中でも、知識・スキル分解は、設計全体の精度を左右する非常に重要な工程です。ここが曖昧なまま進めてしまうと、どれだけ教材を作り込んでも成果にはつながりません。
もし、
- 自社のeラーニングがうまく機能していない
- LMSを導入したが活用できていない
- 教材を見直したいがどこから手をつけるべきか分からない
と感じている場合は、まずは現状を整理することをおすすめします。
まずは「どこがズレているのか」を整理してみませんか?
eラーニングが成果につながらない原因は、コンテンツではなく設計にあるケースが多く見られます。
3分で現状の課題を整理できるチェックをご用意しています。
また、より具体的に自社の課題整理や改善の方向性を明確にしたい場合は、設計伴走サービスで個別に整理することも可能です。
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