eラーニング設計とは?失敗しない設計の考え方

eラーニング 作り方 eラーニング設計とは|失敗しない考え方

LMSやeラーニングを導入したものの、


  • 研修が現場で活用されない
  • 学習しても行動が変わらない
  • 成果につながっている実感がない

といった課題は、実際多くの企業で見られます。

これらの問題は、一見すると「コンテンツの質」や「受講者の意識」の問題のように見えますが、元を辿ると多くの場合「設計」に行き着きます。


関連記事:
▶ LMS・ツール導入で失敗する理由|eラーニングが定着しない原因


本記事では、eラーニングの作り方の全体像を整理しながら、どこに問題が起きやすいのか、そしてどのように改善すべきかを体系的に整理します。


eラーニングがうまくいかない理由は「設計が分解されていない」から


多くの企業では、「eラーニング設計」を単独で完結するまとまりとして捉えてしまっています。

しかし実際には、設計は複数の要素から構成されるものです。

この分解ができていないと、


  • 問題の原因が特定できない
  • 改善の打ち手が見えない
  • 何を直すべきか判断できない

という状態になりがちです。

その結果として、「なんとなく改善」を繰り返してしまい、本質的な解決に至らないケースが多く見られます。


eラーニング設計は「7つの要素」に分解できる


eラーニング設計は、以下のような要素に分解して考えることができます。


① 学習目標設計
② 情報設計
③ インタラクション設計
④ 業務シナリオ設計
⑤ クイズ設計
⑥ 運用設計
⑦ 成果測定設計


重要なのは、これらが独立して存在しているのではなく、相互に影響し合っている点です。

つまり、コンテンツを「eラーニング化して配信する」ことだけを考えるのでは不十分であり、これらすべてを一連の流れとして設計する必要があります。


全体の設計が崩れると何が起きるのか?


設計のどこが崩れるかによって、現場で起きる問題は変わります。


① 学習目標設計が曖昧 :研修そのものの意義がぼやけてしまい、適切な教材作成、現場定着と業務成果につながらない
② 情報設計不足:学習の流れが掴みにくいため内容の理解度が低く、記憶定着しにくい
③ インタラクション不足:漫然と受講することで集中力や学習意欲が低下し、記憶定着しにくい
④ 業務シナリオが弱い:学習内容と業務との関連性を明確にできず、学習しただけで終わってしまう
⑤ クイズ設計が弱い:スキルに繋がる知識や判断力など正しく測定できないため学習評価が不十分
⑥ 運用設計が弱い:eラーニングの配信対象者、タイミング、未受講、未修了、不合格者、現場で活かすフォロー体制が不十分なため、学習効果の標準化が成されない
⑦ 成果測定設計が弱い:現場での行動変容KPI、業務課題達成KPIの測定と評価を部門間で定義しないため、学習の効果が不明。研修コストのみ計上となる

このように、「設計要素」と「結果」は明確な対応関係を持っています。

また、設計がうまくいかない背景には、いくつかの共通パターンがあります。


  • eラーニング制作ツールやLMS導入が目的になっている
  • コンテンツ制作から始めてしまう
  • 業務との接続が考慮されていない(研修を行えばすべて解決すると考えている)

よくある設計ミスから生じる問題


実際の現場では、こうした設計の問題が複合的に発生しています。


関連記事:
▶ ダメなeラーニング教材10パターン|失敗する原因と改善方法

多くの場合、1つの問題から起因するというよりも、複数の設計要素が同時に崩れているケースがほとんどです。


正しいeラーニング設計の考え方


eラーニング設計は、以下の順番で考える必要があります。


1.業務で達成したい状態つまり、課題解決とは何かを定義し、測定基準を定義する
2.課題解決に必要な行動・スキルは何かを分解して細かく定義し、行動、スキルを達成するために必要な知識や判断ポイント(前提知識も)定義する


この最初の工程である「課題定義」や「必要な行動の整理」が、ニーズアナリシスにあたります。
詳しくは以下の記事で解説しています。
▶ eラーニング 作り方の最初のステップ|失敗しない設計手順


ニーズアナリシスで課題を明確にした後、次に必要になるのが、その課題を解決するために必要な行動・判断・スキル・知識を分解する工程です。
この分解が曖昧なまま設計を進めると、成果につながらないケースが多く見られます。

知識・スキル分解の考え方については、以下の記事で詳しく解説しています。
▶ eラーニングがうまくいかない理由|「とりあえず教材作成」から抜け出す方法とは


3.上記2で落とし込んだ学習設計に落とし込み、学習目標を定義する
4.上記3で定義した学習目標に基づいて、適切な情報提示、インタラクション、クイズを設計し、コンテンツを設計する
5.上記4で制作したeラーニングコンテンツを適切な受講者とタイミングで配信し、未着手、未修了、不合格者の対応について、学習フォローを定義する
6.上記5で配信されたeラーニングコンテンツの内容が現場で活かされているか、現場関係者との連携による業務定着フォローを定義する
7.上記6でフォローした行動変容が業務課題を解決しているかKPI、データ測定する

つまり、

業務目標 → 行動目標 → 学習目標→コンテンツ→学習フォロー→業務定着フォロー→測定

という流れです。


ツールはあくまで手段である


既存の資料や使い慣れたパワーポイントを使ってeラーニング化し、受講状況をデータ管理できるメリットがあるため、eラーニングツールやLMSは、eラーニングを量産、配信の標準化には役立ちます。 ツール選定や機能比較は確かに重要ですが、ツールは万能ではなく、それだけでは自動的に業務課題の解決にはつながりません。あくまで設計の一部をカバーする、という考え方であるべきです。


関連記事
▶ LMS導入後に成果が出ない理由|定着しない研修の設計課題とは
▶ iSpring Suite AI製品とiSpring Suite製品の違いを徹底比較


設計は「部分最適」ではなく「全体最適」


一言で「設計」といっても7項目の要素を順番に考慮すべきものであり、一部だけを改善しても意味がありません。教材の学習目標を改善し直す、ナレーションや動画を入れたコンテンツを制作する、大量のクイズを出題する、という部分的な改善をすれば(部分最適)解決するかというとそうではない場合が多いのです。

重要なのは、大元の目標から、実施目標、コンテンツ内容、コンテンツ受講後、測定まで、全体の構造として設計されていることで(全体最適)初めて実施価値のある効果的なeラーニングとなるのです。

まとめ


eラーニングがうまくいかない原因は、様々あります。制作体制、受講管理、現場管理、測定管理等、 これらのどこかでボトルネックがある場合、eラーニング実施の効果が不十分となり、研修コストばかりが積み上がるという状態に陥ってしまいます。 研修部門が中心となり他の部門との連携を行うことによって、eラーニング設計をコンテンツ制作、管理という視点だけでなく、全体構造として捉えることが初めて可能になり、eラーニングを業務課題達成につながっていくのです。


もし、


  • 自社のeラーニングがうまく機能していない
  • LMSを導入したが活用できていない
  • 教材を見直したいがどこから手をつけるべきか分からない

と感じている場合は、まずは現状を整理することをおすすめします。


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