ダメなeラーニング教材10パターン|よくある設計ミスと改善のヒント
LMSやeラーニングを導入した後、
- 受講状況がかんばしくない
- 現場でのスキル向上につながっているか不明
- 業務成果はもっと不明
といった課題に対しては、とにかくコース修了率を上げることに意識が集中しがちです。
しかし、本来重要なのは「修了したかどうか」ではなく、受講後に何ができるようになったかです。
LMSや制作ツールの機能をフル活用することで課題が解決するのでは?と考えてしまいがちですが、実際にはツールや見た目ではなく「設計」が成果を左右します。
特にeラーニング教材においては、コンテンツの見栄え、教材形式、提供する情報内容や量よりも、どのように学ばせるかが重要です。
本記事では、現場でよく見られる「ダメなeラーニング教材の典型パターン」を10パターンに整理し、それぞれの改善の方向性もあわせて解説します。
eラーニングがうまくいかない理由は「設計」にある
eラーニングの受講修了率が伸びず、現場で活かされているか?と考える時、
- コンテンツの見栄えの完成度が足りないから
- LMSの機能をもっと活かしていないから
- 受講者の意識が低いから
といった要因に目が向きがちですが、多くの場合は設計の段階でつまずいているケースが少なくありません。
つまり、
「どのように学習させるか」と「学習の意義」が設計されていない
という状態です。
さらに言えば、
- なぜ学ぶ必要があるのか
- どの順番で学ばせるか
- どこで理解を確認するか
- どのように業務と結びつけるか
といった「学習体験そのもの」が設計されていないケースが多く見られます。
その結果、教材が「図や動画、ナレーションが含まれているが、なんとなく作られたもの」になり、途中で受講がストップしたり、成果につながらなくなります。
以下では、実際の現場でよく見られる「教材レベルの課題」にフォーカスして整理しています。
「自社の教材にも当てはまるかもしれない」という視点でチェックしてみてください。
ダメなeラーニング教材10パターン
よく見られるダメなeラーニング教材の典型パターンを紹介します。
① 情報を詰め込みすぎている教材
スライドに文章がメインでテキストがびっしり並び、受講者が「読むだけ」になっている教材です。
テキスト量の多さは、心理的にも圧倒されやすいですし、内容理解や記憶という点で学習者の負荷が大きくなります。
1ページあたりの内容をさらに分解し、「1ページ1メッセージ」に整理していくことで理解しやすくなります。テキストを図解にしてみることも視覚的な効果があります。そうすることで余計なテキストもそぎ落とすことが可能です。
② 学習目標が曖昧な教材
「理解する」「知る」など、あくまで学習者の脳内で起こっていることで、もちろんそこに意味はあります。しかし、実はこれだけでは何をできるようになるのか不明確な状態といえます。
また「理解した」「知った」だけの情報というのは、よほど衝撃的な内容でもない限り定着しにくい傾向があります。
したがって「理解する」「知る」ことが具体的なアクションとして表現できるよう学習目標に設定することが必要です。こうすることで、理解したことを客観的に測定できるようになります。
学習目標を測定が可能な形に書き換えると、それがそのまま
③ インタラクションがない教材
動画や図、スライドをただ見せるだけの教材は、情報が一方的になり、受動的な学習になってしまいます。人間の特性上、受け身の状態ですと、単独学習ということもあり、集中力を一定時間保つことは至難の業です。
情報を確実に定着させることが必要なeラーニング教材は、学習中に能動的な脳の状態にする仕掛けを予め設定しておく必要があります。
ここで言う能動的とは、意図的に選択、判断をさせることで学習中に考える場面を設けることと、物理的なマウス操作を促すことです。インタラクションの例としては、ロールプレイや画面を展開させたり、スコアをカウントしないクイズとフィードバック表示などがあります。効果的にインタラクションを適用すると、学習内容は記憶に残りやすくなります。
④ クイズが形だけ、問題数が少ない教材
内容確認のためのクイズがあるものの、文章問題の択一式と正誤確認だけで終わっていたり、数が少なすぎるケースです。クイズは基本的には学習の測定という役割ですが、実は
学習内容は角度を変えて複数パターンで問題を出題するとよいでしょう。その際には、択一以外のクイズテンプレートを用いてみると、見た目の変化だけでなく、マウス操作を幅広く用いることが必要なインタラクション要素も取り込めます。
マウス操作はわずかな物理操作ですが、視覚効果と相乗効果をもたらします。フィードバックも正誤で内容を変化させると、問題プラスフィードバックのセットで知識の復習に役立ち、理解度向上と定着につながります。
⑤ 業務シナリオが見えにくい教材
業務との関連性が薄く、抽象的な説明だけで構成されている教材で、学習したことが現場に活かせるイメージが湧かないケースです。実はこれは非常に多く、受講者の途中離脱を招きます。
義務的に受講は完了したとしても、学習内容が現場と関連がないため定着度が低く、eラーニングそのものに対する意欲が低下することがあります。
そのため、業務場面を想定したケーススタディ等を含め、学習内容と現場業務とのつながりを明確にできる展開にする必要があります。
⑥ コンテンツが長すぎる教材
教材受講が長時間に及ぶケースで、1つの学習単位に含まれるページ数が多すぎたり、ページあたりの動画の尺が長すぎる場合にも途中離脱が発生します。
eラーニング制作ツールによっては、途中で学習から離れても戻ってきた時に同じページから再開することが可能な設定にすることもできますが、学習単位は適切なページ数を含んだ形で学習テーマごとに節や項を構成し、学習者が区切りよく学習を進められる形にします。
また、1ページに表示する動画の尺は長くても10分以内に分割することで、集中して学習しやすくなります。
⑦ LMSにコース登録・割当てしただけの教材
LMSに教材をコースとして登録し、なんとなく受講者に割当てしただけでは、eラーニングが運用設計されていない状態です。
まず、適切な受講者に、適切なタイミングでコース割当てをする必要があります。LMSでリマインド機能がある場合は活用しましょう。
割当て後にすべきことは、コースごとの受講状況を定期的にチェックし、部門担当者と連携することです。受講が進まない受講者や、受講後の現場定着についてのフォロー方法を予め企業内で決めておくことで、スムーズにコース修了率を上げ、現場定着を促進することができます。
⑧ 成果測定がされていない教材
受講後の変化や効果が測定されていない場合、教材自体の意味が希薄になってしまいます。学習内容は業務課題や目標に基づいて決めていくため、学習目標は自然と課題や目標を満たすものになっているはずです。
現場において、どのような行動変容があれば課題や目標が達成されたとみなすのかについて具体的な指標を予め設定し、学習完了後に指標に基づいて行動や結果を評価する段階も設計しておきます。
⑨ 受講対象者が曖昧な教材
該当受講者が明確でない教材は、学習内容がぼやけて受講者に刺さらないです。受講者の前提知識、スキル、業務を明らかにすることで、学習内容が難しすぎる、または易しすぎる、業務と関連性が微妙というミスマッチを防ぐことができます。
学習内容が難しすぎる場合、補助資料を参照させては、という考え方もありますが、学習者が自発的に補助資料を参照することが前提となってしまうため、単独で学習するeラーニングの場合、教材は学習者の知識スキルレベルや業務に合致した内容にすることで無駄を減らし、定着度も上がります。
⑩ 受講する必然性を感じない教材
受講者の業務と関連性が低い、自分ごととして感じられない内容で教材を割当てされると、受講者は義務感のみで受講修了したとしても、学習内容は記憶されにくく、結果として受講時間が無駄になります。
そればかりか、受講者はeラーニングに対してマイナス感情を引き起こし、学習体験そのものに否定的となってしまう可能性もあります。こうしたことを避けるため、現場での行動変容を具体的に学習目標に盛り込み、最初のパートで明確な動機づけを設定します。なぜ貴重は時間を使ってまで受講するのかを意識できるようにするのです。
そして学習内容を活かせる場面を受講後に想起させるために、現実的なケーススタディを活用することと、現場上司の直接的な動機づけとフォローを併用すると効果的です。
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eラーニングが定着しない原因や、LMS導入後に活用が進まない背景については、以下の記事でも詳しく解説しています。
▶ LMSやeラーニングを導入したのに活用が進まない理由【7つの典型パターン】
まとめ
eラーニングの活用は、LMSや制作ツールを越えた部分で設計を行うことで、業務課題や目標にアプローチできます。
つまり、
- 学習目標
- 学習内容の組み立て
- インタラクション
- 業務との接続
- 効果測定
といった要素が整理されていないと、どれだけeラーニングを制作し、コース割当てしても、学習そのものが目的になってしまいます。
eラーニングは「コンテンツを作ること」が目的ではありません。
重要なのは、
- 学習を通じて現場の行動が変わること
- その結果として業務成果につながること
そのためには、教材単体ではなく、設計・運用・業務接続まで含めた全体設計が不可欠になります。
もし、
- 自社のeラーニングがうまく機能していない
- LMSを導入したが活用できていない
- 教材を見直したいがどこから手をつけるべきか分からない
と感じている場合は、まずは現状を整理することをおすすめします。
また、より具体的に自社の課題整理や改善の方向性を明確にしたい場合は、設計伴走サービスで個別に整理することも可能です。