eラーニング設計における学習目標とは?成果につなげるための考え方

eラーニング設計における学習目標とは?成果につなげるための考え方

前回の記事では、知識・スキル分解の考え方について整理しました。


関連記事:
▶ eラーニングがうまくいかない理由|「とりあえず教材作成」から抜け出す方法とは


業務目標/課題を特定し、それらを解決するために必要な行動・スキル・知識を明確にした後に重要になるのが、「学習目標の定義」です。


この学習目標が曖昧なまま設計を進めてしまうと、コンテンツの内容や評価基準がブレてしまい、結果として学習のための学習、になりやすく業務成果につながらないケースが多く見られます。

この記事では、eラーニング設計における学習目標の考え方と、実務で押さえるべきポイントについて整理します。


学習目標とは何か


学習目標とは、「コース受講後に何ができるようになるのか」を定義したものです。

しかし単純に「○○の知識を理解する」「△▲のスキルを身につける」といった抽象的なものではなく、実際の業務でどのような行動ができる状態を目指すのかを明確にする必要があります。

ここで重要なのは、学習目標は単純に「知識の学習」ではなく「行動の変化」を定義するものである、という点です。

eラーニングはあくまで手段であり、目的は業務での行動や最終的には成果の変化です。 そのため、学習目標は「業務での行動」を基準に定義することが重要になります。


なぜ学習目標が重要なのか


学習目標は、設計全体の軸になります。

例えば、以下のすべてに影響します。


  • どのような内容を教えるのか
  • どのような形式で学習させるのか
  • どのように評価するのか

つまり、学習目標は「コンテンツ」「学習体験」「評価」のすべての出発点になります。

学習目標が曖昧な場合、これらすべてが曖昧な形となり効果も見えにくくなります。

結果として、「とりあえず必要そうな情報を詰め込んだ教材」や、「クイズで学習理解度は測れるが行動につながらない研修」になってしまいます。

逆に、学習目標が明確であれば、コンテンツ内容・評価・運用のすべてが一貫した設計として成立します。


よくある学習目標の失敗とは?


① 抽象的すぎる目標


「営業スキルを向上させる」


例えばこのような類いの表現は学習目標中によく使われます。ふんわりと改善を期待できるような学習目標のように見えますが、実際には何ができるようになれば達成なのかが不明確です。

学習目標は、本来「行動の変化」を定義するものです。行動に落ちていない目標は、設計の軸になりません。


② 知識中心になっている


「〇〇を理解する」


「理解する」という表現は非常に多く使われる学習目標ですが、「理解する」とはあくまで受講者の脳内で起こっている現象を指しており、個人の脳内回路の状況がどのようになっているか?という意味でやはり曖昧です。これでは客観的にかつ具体的に測定することは難しいでしょう。


そして、「〇〇を理解する」という目標だけでは、実際の業務で使えるかどうかは不明です。理由は知識を持っていることと行動できることは別物と考えるべきだからです。

学習目標は学んだ知識を具体的な行動で表す必要があります。


③ 成果を学習目標にしている


「売上を上げる」


業務目標/課題から落とし込んだ項目をそのままダイレクトに学習目標にするのは適切ではありません。

成果はあくまで最終結果であり、学習によって直接変えることができるのは業務における活用、つまり行動変容です。したがって、業務に活用できる行動を具体的に学習目標に設定する必要があります。


学習目標の作り方


では学習目標とは本来どのように作るべきか?といいますと、学習目標の失敗例とは真逆の考え方となります。


① 具体的な行動ベースで定義する


まず重要なのは、
「何ができるようになるのか」を行動レベルで表現することです。

例えば、先ほどの例として「営業スキルを向上させる」という曖昧な学習目標であれば、


  • 顧客のニーズをヒアリングできる
  • 状況に応じた適切な提案内容を組み立てられる

など、実際の業務に即した形にします。


② 測定できる形にする


学習目標は、具体的に「できるようになった/できていない」が判断できる必要があります。

曖昧な表現ではなく、例えば、~を指摘できる、~を判断する、~を比較して正しく見分けられる、等の評価可能な形で評価が可能なレベルまで具体化することが重要です。


③ 成果とのつながりを確認する


そして学習目標で達成された行動が業務成果に繋がっていくかを確認します。

例えば、


  • 受注率の向上
  • 顧客満足度の改善

といった成果と関係しているかを確認します。

ここで重要なのは、学習目標として定義するのはあくまで「行動」であり、成果はその先にあるという整理です。


まとめ


学習目標は、eラーニング設計の軸となる要素です。


  • 行動ベースで定義する
  • 測定できる形にする
  • 業務成果と紐づける

この3点を押さえることで、コンテンツや評価のブレを防ぐことができます。

逆に、ここが曖昧なままでは、どれだけ教材を作り込んでも成果にはつながりません。

学習目標は「何を教えるか」を決めるものではなく、「受講後に何ができるようになるべきか」を定義するものです。

ここを起点に設計することで、eラーニングは初めて業務成果につながる仕組みとして機能します。



ここまで見てきたように、学習目標は単なる知識の整理ではなく、業務での行動変容を起点に設計する必要があります。しかし実際には、この行動レベルまで落とし込み、さらに評価やコンテンツ設計まで一貫して設計することは簡単ではありません。


そのため、多くの現場で「とりあえず教材を作る」という状態に陥り、結果として成果につながらないケースが生まれています。だからこそ、設計そのものを整理することが重要になります。

もし、


  • 自社のeラーニングがうまく機能していない
  • LMSを導入したが活用できていない
  • 教材を見直したいがどこから手をつけるべきか分からない

と感じている場合は、まずは現状を整理することをおすすめします。


eラーニング設計診断(3分チェック)

まずは現状の課題を整理したい方はこちら。

▶ 診断ページを見る


また、より具体的に自社の課題整理や改善の方向性を明確にしたい場合は、設計伴走サービスで個別に整理することも可能です。


iSpring活用設計診断サービス

教材設計、PowerPoint教材の見直し、LMS運用を整理したい方はこちら。

▶ サービス詳細を見る